ひまわり信託ニュース

2015年1月20日 | 「教育資金贈与信託」で見落としてはならないこと

「教育資金贈与信託」で見落としてはならないこと

アベノミクス税制の目玉として入された「教育資金贈与信託」,わが国のシニア層に退蔵されている金融資産を,次世代を担う子どもたちの教育資金として活用してもらい,内需拡大にプラスにしようという制度ですが,これが大流行りで,教育資金以外にも対象を拡大しようという話になっています。
1人当たり1500万円まで贈与税が非課税ということですから,孫が4人いれば合計6000万円,各相続人に相続税の最高税率が課税される富裕層なら,贈与せずに6000万円が相続税の最高部分の課税対象になると,最高税率は55%ですから,3300万円の節税効果があることになります。
このような富裕層がどのくらいあるのかは分かりませんが,それほどでなくても確実に節税効果はある,これをテコに各方面に預金が殺到しているのも当然でしょう。
ただ,本当に教育資金として1500万円を使い切ることができるのかという疑問もあります。私立小中学校,大学等(小学校から大卒なら16年間,中高大卒までなら10年間)を経ても,使い切れることもあるでしょうが,残ってしまうこともあるでしょう。
とにかくこれをやっておけば節税になるという勢いで預金等が殺到しているようですが,法律の条件に合致する教育資金として使い切れなければ後に贈与税の課税が待っています。
本当に有効かどうか,落ち着いて見極める必要があります。
それと,これは余計なことかも知れませんが,お金を出してやるだけが教育じゃないかも・・・
お金が人を狂わせることも世間ではあります。
それと,この制度は,贈与税について後に使途を見て,残っていたら,教育資金以外に使っていたら課税するというだけです(金融機関は払い出しの際に提示された領収証を保管する以上の義務はありません。領収証の提示がなくても払い出しは拒絶できません。)から,使途を金融機関が制限してくれるものではない=孫が破れかぶれで浪費する可能性を防止できていない,ことにも注意が必要です。

(文責:伊東大祐)