ひまわり信託ニュース

2015年2月2日 | 信託ならどうなるか

信託ならどうなるか

信託ならどうなるか

では,この案件に信託を使ったらどうなるだろうか。

ことはそれほど単純じゃないのであるが,例えばAさんの全財産を自益信託し,Aさんは没後は受益権は全部Bさんが取得するとしていたとする。

この場合,厳密には資産の内容にもよるが,基本的には受託者はAさん死去を除籍謄本などで知らされれば,自動的にBさんに財産を給付する立場となる。

自筆証書遺言もないので検認はないし,受託者がBさんに財産給付をするのは義務だから,そうするのが当然である。

弟妹がクレームをつけたくても,そもそも遺留分もない。

自筆証書遺言の検認や,相続人に対する遺言執行者の遺産目録提示をスキップできるというメリットに「過ぎない」かどうかはもめ事に関わった経験があるなしで評価は違うであろうが,さらにスムーズなAさんのご意向の実現は可能になるであろう。

相続に信託を生かす取組について,なんだか感情的に反発する法律専門家もいる。

どういう理由かは分からないが,戦前の長子単独相続=家制度,から諸子均分相続に変わった戦後の相続制度を破壊することになると勘違いしているようだ。

なめられたモノだ。別にわれわれはアナクロな復古主義者じゃない。

しかし,現代の相続問題では,長男がいい目を見ているというような話はない。

むしろ,負担が多いことがままあるのが現状だ。

それを知らないのは,不勉強というものだ。

「オヤジ,お願いだから少しは考えてくれよ」
「バカかお前は。長男がそんなことでどうする」
「お義父さん,お願いですから」
「お前は嫁のくせにうちの娘らがそんなこというと思ってるのか!」
「大体長男のお前がしっかりしないからだ!」
これじゃ仕方がない・・・
兄弟姉妹は長男だから当然,とは考えないが,当のお年寄りは長男だから当然と思っている。
そのくせ,兄弟姉妹は,親の面倒は長男がみろという・・・

もちろんご家庭ごとに事情は異なり,ご長男が恵まれているご家庭もある。
しかし,その逆のご家庭もある。
問題は,ご長男というだけで冷遇したい,と言わんばかりの「進歩的理想家法律専門家」がいることである。

家制度も長男優遇も,擁護するつもりはないが,長男・長男の嫁(特にこの問題は本当にお気の毒なケースが多い)の無条件の冷遇は,違うのではないかと思っている。