ひまわり信託ニュース

2015年2月3日 | 日経ビジネスから 暦年贈与信託など その現状は

日経ビジネスから 暦年贈与信託など その現状は

私は日経新聞は紙のものはやめ,電子版をパソコン・タブレット・スマートフォンで読んでいますが,登録していると関心のある記事を「Myニュースメール」というメールで教えてくれます。
本日の「Myニュースメール」に,
◆1000兆円の資産が動く 相続で激震、ニッポン金融
という記事がありました。

以前ご紹介した三菱UFJ信託銀行の暦年贈与信託「おくるしあわせ」,「発売から半年で契約が早くも6000件超」とのこと。
手数料もかからないし,優れたサービスだと思いますが,持戻し免除の確認はお願いしたいところです。

また,このような記述もあります。
「遺言信託など一部のビジネスでは,事実上,富裕層に集中的に力を注いでいることだ。それが表れているのが信託契約の手数料や報酬。代表的な信託商品の遺言信託では,ほとんどの信託銀行で基本手数料が32万4000円,遺言書の保管料が毎年6480円に,遺言執行時の相続財産の規模に応じて遺言執行手数料がかかる。」
まず,信託銀行さんの「遺言信託」は法律上の「信託」ではなく,信託銀行の行う遺言書作成サポート,遺言書預かり,執行サービス,のことをいうので,「信託契約の手数料や報酬」というのも違うのですが,まあ,それはいいです。
この信託銀行さん,案外取るよね~というのは,弁護士業界からは昔から言われていたことで,でも,最近は各行キャンペーンなども盛んなので,われわれもうかうかしておれません。
遺言執行手数料は,遺産の規模が小さいところでは弁護士の執行報酬の方が安いです。
遺産額3000万円なら,この記事で紹介されている計算では108万円,旧日弁連の基準では90万7200円ですので,すこーし弁護士の方が安い・・・
ただ,信託銀行さんの場合,自行預金の計算は別建てというような割引もあるので,単純に比較はできません。
弁護士の側も,競争相手の料金体系を研究して,新たな提案をすることが必要でしょう。

相続案件で信託銀行さんと弁護士で根底的に違うのは,信託銀行さんは紛争性のある案件は扱えない,扱わない,という点です。
これは,弁護士に法律業務を独占させるという弁護士法=国の法律のスタンスから導かれるもので,別に弁護士が横車を押したのではないです。
また,実際信託銀行さんは紛争性のあるものは絶対やりません。やるべきでもないし,やるつもりもありません。
ある意味ちゃんと棲み分けができています。でも,結局われわれは,面倒なことばかりやらされてないか?という独り言はここだけにします(弁護士って案外単純ですね)。

このブログのメインテーマである,個人信託・民事信託・家族信託・福祉型信託の領域でも,紛争性のある案件はあります。そこについて,適切なアドバイスをして行きたいと思っています。
また,本来信託は,受託者が委託の時点では計り知れない事情の変化を踏まえて,適切な裁量性をもって事態に対処していくことができれば素晴らしい制度なのです。この場面での受託者は,相当な覚悟が要ります。
信託銀行さんは,これまで自益信託中心の中で,受託者の裁量性=委託者にとっての危険の可能性,を極力排除するスタンスで営業されてきました。これは信託銀行さんの意識どうこういうより,日本の信託法制・信託業法制・行政規制がそういうスタンスだったからです。

しかし,信託の本領を発揮すべき,受託者の裁量性,この問題に適切に対処するのに,従来のスタンスが足かせになっているのも事実だと思うのです。
それをどうしたら,信託ならではのメリットを求めるお客様に提供できるか。
正直申して,信託銀行と弁護士で対立している場合ではない,と思います。

それぞれの良さを生かして協力する術はないものか,私は今後も考え続け,提起し続けます。
信託銀行さんの側でも,怖がらないでお相手して下さい!